1. 導入|パズーの物語は“夢を信じた少年”の物語だった
『天空の城ラピュタ』におけるパズーの物語は、「父の夢を信じ続ける少年」の物語だ。
父はラピュタを撮影したが、誰にも信じてもらえず、嘘つき扱いされたまま亡くなった。
それでもパズーは、その夢を手放すことなく、語り続け、追い続けた。
だが、彼の成長は「夢を叶える」ことだけでは終わらない。
真の物語は、“夢の先にある選択”にこそあった。
2. 父の夢と“社会の嘲笑”──なぜパズーは笑われ続けたのか?

物語序盤、パズーは仕事仲間たちから「また夢の話か」とからかわれる。
- 父の撮ったラピュタの写真は、“嘘つきの象徴”
- 世間は「空に城がある」ことを本気で信じていない
- 夢を語ることは、“現実を見ていない”証とされる風潮
それでもパズーは、父の夢を否定しない。
むしろ、“自分の夢”として語るようになっていく。
嘲笑の中でも信じること。
それは、「夢に生きる覚悟」でもあった。
3. パズーの“成長”とは、夢に飲まれず“選び直す”力を得たこと

物語終盤、ついにラピュタに到達するパズー。
父が見た空の城は、本当に存在していた。
だがその瞬間、彼はラピュタの“栄光”を手にしようとはしなかった。
- 巨神兵やラピュタの力に目を奪われることもなく
- ムスカに対しても“降伏”ではなく“拒絶”を選ぶ
- そして、シータと共に「バルス」を唱え、ラピュタを破壊する
夢を叶えたあと、それを“自ら終わらせる”。
そこに、パズーの“成長の証”がある。
4. “継承”とは「真似すること」ではなく「更新すること」
父が遺した夢を信じ続けたパズーは、
「ラピュタを見つける」という意味では、父を“超える”ことに成功する。
だが、その夢に“溺れる”ことはしなかった。
- 過去の延長ではなく、「夢を終わらせる意志」を持った
- 「父と同じようになりたい」ではなく、「父の続きを生きる」ことを選んだ
- それが、“更新としての継承”だった
本当の継承とは、先人を超えて「未来を選び直すこと」なのだ。
5. ラピュタが描いた“夢”と“現実”をつなぐ物語の縦軸とは?
ラピュタという空に浮かぶ城は、夢そのものを象徴している。
一方、パズーが暮らしていた炭鉱の町は、現実の象徴だ。
物語の流れを見てみよう。
- 地上から出発し、空を目指す
- 空の城=夢に到達する
- だが、それを終わらせて地上に戻る
この流れは、「夢だけを追ってはいけない」というメッセージではない。
むしろ、「夢を持ったまま、現実に生きろ」という力強い肯定だ。
6. まとめ|パズーが最後に見つけた“夢の居場所”とは何だったのか?

パズーは、夢を掴み、それを終わらせたうえで、
再び地上へ戻り、“普通の暮らし”を選んだ。
それは、夢を諦めたのではない。
夢を“日常に持ち込んだ”のだ。
- 誰にも信じてもらえなかった父の夢は、
- パズーの意志によって“現実”として成立し、
- 最後は「共に生きる日常」に落とし込まれた
パズーにとっての夢とは、「空にあるもの」ではなかった。
「一緒に生きていく人の隣に、そっとあるもの」だったのだ。
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